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陰と陽が教えてくれること

陰と陽が教えてくれること

2012年11月22日 • Books, Mind & Heart

大学で哲学のクラスをとっていた時、とても興味深く思ったのが、ギリシアの哲学者アリストテレスの“Golden Mean”(中庸)という思想。これは、人間の行為や感情に生じる過不足のバランスを取り、中間(中庸)を保つことが「徳」だというものです。

例えば「勇気」が調和のとれている中庸の状態であるとしたら、過多は無鉄砲、過小は臆病ということになります。 1この考え方は、陰と陽の思想にも似ています。

陰と陽……。陰が悪くて陽がよいという誤解もあるようですが、決して陰が陽より劣っているというわけではありません。陰と陽は相対する2つのエネルギーで、単一では存在することができず、お互い補い合ってこそバランスよく調和できるというもの。陰だけがあっても、陽だけがあっても、調和は成り立ちません。

陰: 静・闇・暗・柔・水・冬・夜・植物・女・月
陽: 動・光・明・剛・火・夏・昼・動物・男・太陽

というのが陰陽それぞれの性質です。 2

上記にもあるように、女性は「陰」の気、男性は「陽」の気を持つとされていますが、女性と男性が結婚するというのは本能からくる行動。一緒になることで陰陽のバランスが保たれ、全身の気がめぐり、健やかになるそうです。

夏の野菜(キュウリ・ナス・トマトなど)は「陰の食べ物」であり、夏の暑い日に体温を下げてくれる効果があります。冬の野菜(ニラ・カブ・白菜など)は「陽の食べ物」であり、冬の寒い日に体を温めてくれる効果があります。旬のものをおいしくいただくことで、体のバランスも整えられるということですね。

私の仕事のパートナーと私自身を見ても、この陰陽の関係をあてはめることができます。

私のパートナーは、太陽そのもの。太陽系ただひとつの恒星で高温の気体からできていて、太陽系の全天体に重力の影響を与えているのが太陽。彼女はそんな太陽のように溢れる情熱とパワーを発していて、人のモチベーションと向上心をあげて、ぐいぐいひっぱっていく力を持っています。そんな彼女には「太陽」「光」「動」という言葉がしっくりきます。

でも私は彼女とは真逆で、「月」「闇」「静」という言葉がしっくりきます。太陽がなければ輝くことができない、静かに空に浮かぶ月のようです。でも満月には浄化のパワーがありますよね。だから太陽のパワーをもらって輝く私は、人の癒しとなり、空が夜の闇に包まれても、優しい光で明るく足元を照らす力が備わっているのかもしれません。

そして、正反対の私たちがこうして一緒に仕事をすることができるのは、2人の持つ陰と陽のエネルギーがうまく調和しているからだと思います。

人間の感情に喜怒哀楽がありますが、ここにも陰と陽のエッセンスが溢れています。人を愛する喜びを感じることができるのは、人の裏切りや絶望的な別れを味わったから。何かを達成した時に喜びを感じることができるのは、そのプロセスで失敗や挫折を経験したから。

そんな陰と陽の関係を分かりやすく説明してくれているのが、こちらの『ネガティブを愛する生き方』という本。

一時期私はネガティブな感情でかんじがらめになり、そんな自分が嫌で無理やりポジティブになろうとしていたのですが、現実から目を背けようとするほど、ネガティブの深みにはまるばかり。でもこの本を読んで、目から鱗でした。

表現がきついところもありますし、決して優しく励ましてくれるような本ではありません。それでも、ネガティブとポジティブは、お互いが存在して初めて成り立つものだということや、生きていくうえで避けられないネガティブと上手に付き合っていく方法、バランスよく生きるための方法を教えてくれる一冊です。

マリリン・モンローに学ぶ『我がまま』への自信」でもご紹介した、

私は、わがままでせっかちで少し不安定なの。ミスもするし、手に負えなくて扱うのが大変な時だってあると思うわ。でも、もしあなたが私が最悪の状態の時に扱うことができないのであれば、私が最高の状態にある時に一緒に過ごす資格なんてないわね。
I’m selfish, impatient and a little insecure. I make mistakes, I am out of control and at times hard to handle. But if you can’t handle me at my worst, then you sure as hell don’t deserve me at my best.

という彼女の言葉が、まさにネガティブを愛する生き方を象徴しています。自分の闇を知っていたからこそ、あのような輝きを放つことができたのかもしれません。そう考えると、ネガティブは「陰」であって決して悪いものではない、と思えてきませんか?

脚注:

  1. 中庸 (ギリシア哲学)、ウィキペディア
  2. 陰陽、ウィキペディア

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