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映画『ウォルト・ディズニーの約束』 ~誰も知らなかったメリー・ポピンズ誕生の舞台裏~

映画『ウォルト・ディズニーの約束』 ~誰も知らなかったメリー・ポピンズ誕生の舞台裏~

2014年3月18日 • Movies & TV

ウォルト・ディズニーの約束【映画情報】

邦題:ウォルト・ディズニーの約束
原題:Saving Mr. Banks
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:トム・ハンクス/エマ・トンプソン/コリン・ファレル/ポール・ジアマッティ
全米公開:2013年12月13日
日本公開:2014年3月21日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

もし私が作家で、ウォルト・ディズニー本人から自分の作品を映画化させてほしいとオファーを受けたとしたら、「こんな光栄なことはない」と天にも昇る気持ちで快諾していたに違いありません。

でも『メリー・ポピンズ』の原作者、P.J.トラヴァースは違いました。

1940年代、娘の愛読書であった『メリー・ポピンズ』を読んでそのストーリーに魅了され、「パパがこれを映画にするよ」と約束したウォルト。その約束を果たそうとそれから20年もの間、映画化に向けてP.J.トラヴァースと交渉を続けるものの、彼女の答えは一貫して「ノー」。

ところが1961年のこと、経済的窮地に立たされたP.J.トラヴァースは、映画化のアイディアを聞こうと、ウォルトのいるロサンゼルスを訪れます。台本の最終承認は彼女がすること、アニメーションは使わないことなどを条件に、契約書にサインすることを検討すると伝える彼女。でも映画がミュージカル仕立てになることを知り、強い怒りと嫌悪感をあらわにします。

オーストラリアで生まれ育ち、25歳の時にイギリスへ移住したP.J.トラヴァースは、マナーや伝統を重んじ、過度の演出を好まない女性。自分の作品をミュージカルにすることは、金儲け至上主義のハリウッドのやり方だと、情熱を傾けるウォルトの気持ちを無視してその手法を非難します。それでも彼の意思を継ぐスタッフは何とか映画化を実現させようと心を砕き、彼女に様々なアイディアを提案します。そんな彼らの努力むなしく、アートディレクションも、コスチュームも、俳優候補も、台本も、何もかも気に入らず、全て却下する彼女。

想いが届かず途方に暮れる中、P.J.トラヴァースがそこまで頑なに作品を守ろうとする背景に、幼いころの彼女と父親の関係があることを知ったウォルト。そこで、映画化への最後のチャンスをかけて彼女に”ある約束”をするのでした……。

ウォルト・ディズニーが映画の登場人物となるのは、意外にも本作品がはじめて。トム・ハンクス演じるウォルトが、両腕を大きく広げて満面の笑顔で「ようこそ!」とP.J.トラヴァースを迎えるシーンでは、まるで本物のウォルトに出会ったかのような感動と興奮を覚えるほど。

そして、押しても引いても動かない、岩のようにどっしりとした頑固さと気難しさでひたすらウォルトを困らせるP.J.トラヴァースを演じたのがエマ・トンプソン。周りをフンと鼻先であしらうジェスチャー、不信感のあらわれでもある八の字眉や、皮肉たっぷりのコメントなど、細部にわたった表現がとてもコミカル。P.J.トラヴァースのような人と一緒に仕事をしたら苦労が絶えないだろうなと思いつつ、思わず笑ってしまうシーンが随所に見られます。

またこの対照的な2人を取り巻くキャストも、とても豪華。P.J.トラヴァースが唯一心を開く、明るく心優しいスタジオの運転手をポール・ジアマッティ、子供との時間を大切にし、自身も子供の心を持っていたP.J.トラヴァースの父親をコリン・ファレルが演じています。

ウォルト・ディズニーの約束本作品の主軸の一つでもあるP.J.トラヴァースの過去を追うと、幼少時代の父親との思い出から抜け出せず、自分の作品に逃げ道を作っていた当時のままの彼女がいることに気づきます。それだけに彼女の『メリー・ポピンズ』映画化への葛藤を痛々しいまでに感じとれますが、実は本作品の登場人物もそれぞれに辛い過去や現実を抱えていて、その想いが交差していきます。それが、表現に秀でた個性あるキャストが勢ぞろいしながらも、心地よい不思議な一体感が感じられる理由の一つなのかもしれません。

見終えた後、実話を映画化した作品でこんなに感動したのは『しあわせの隠れ場所』以来かもしれない、と思いパンフレットにふと目をやると、監督のクレジットに同作品の監督も務めたジョン・リー・ハンコックの名前が。ヒューマン・ドラマで高い評価を受けている彼だからこそ、マジカルでセンチメンタルでチャーミングに仕上がったのだと納得でした。

切なくて優しい、余韻の残る『ウォルト・ディズニーの約束』、2014年3月21日(金・祝)に公開です。エンドクレジットもお見逃しなく!

【予告編】

ディズニー公式YouTubeチャンネル

(画像:©2013 Disney Enterprises, Inc.)


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