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映画『母の身終い』 ~愛する人の究極の選択をあなたならどう受け止めますか?~

映画『母の身終い』 ~愛する人の究極の選択をあなたならどう受け止めますか?~

2013年11月26日 • Family, Movies & TV

【映画情報】

ストーリー:48歳のトラック運転手アランは、出来心から麻薬の密売に手を出して服役。出所後、脳腫瘍に冒され闘病中の母イヴェットの家に身を寄せて、なんとか人生の再出発をしようとあがいていた。ふたりの間には長年にわたって確執があり、なにかとぶつかり合う。そんなある日、息子は、引き出しの中の書類を手に取って愕然となる。そこには、“スイスの施設で尊厳死”“人生の終え方を選択する”といった文章が書かれ、母のサインがあったからだ。イヴェットは自分らしく人生を終えようと決心していた。アランの心は激しく揺り動かされる。ふたりの残された時間は、あまりにも少ない。そしてついに母が旅立つ日がやってきた……。

原題:Quelques heures de printemps
製作年:2012年
製作国:フランス
日本公開:2013年11月30日(土)シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
上映時間:1時間48分
配給:ドマ/ミモザフィルムズ
公式サイト http://www.hahanomijimai.com/

誰もが人生の間で一度は経験する親との別れ。でも自分の親が「尊厳死」という形で最期の時を決めていたとしたら、自分はどう反応するのだろう……。きっと泣き叫び、考え直してほしいと懇願するに違いありません。でもそれは、親の命ある限り一緒に過ごしたい、心の準備ができない、という子供のわがままに過ぎないのでしょうか。

本作品の中で、自分を見失うことなくこの世を去りたいという想いから尊厳死を選択した母イヴェット。そんな彼女の選択を知った息子アランは「最悪の死に方だ」と怒りと戸惑いをぶつけます。でも印象的だったのが、「自分で決めたことよ」と繰り返すイヴェットの姿。そこに、自分らしくこの世を去りたいということだけでなく、病気で苦しみ息子に迷惑をかけたくないという優しさや愛情、そして親としての責任を垣間見たような気がしました。

でも決して仲がよかったわけではない母と息子。刑務所を出た後、せっかく得た仕事もすぐ辞めてしまったアラン。なかなか望む仕事に就くことができず、母親と同居しなければいけない彼の人生の再出発は決してスムーズではありません。だから八つ当たりとばかりに、母親に心無い言葉をかけたり、思いやりのない態度で接してしまうことも。一方自律を重んじ、隣人との関係を大切にしながら過ごしてきたイヴェットも、突然の息子との生活に戸惑うばかり。静かに余生を過ごそうと決めていたのに、亡き夫にそっくりの息子とは衝突ばかりで、彼女にとっても大きな負担だったに違いありません。

そんな2人の間には不満が募り、アランは家を出て隣人の家で暮らすようになります。頑固で意地っ張りの2人はなかなか謝ることができません。でも病気の母親が気になり、窓からそっと病院帰りの母を見守るアラン。そして母イヴェットも息子がいないことに寂しさを感じ、ペットの犬の体調をわざと悪くさせて、息子を動物病院へと連れ出します。寂しさゆえの突拍子もない行動でしたが、犬の看護が仲直りのきっかけに。あまり会話はないけれど、食卓を共にするようになった2人の間には、親子の静かで優しい時間が流れていました。

そんな中、母親の決断を受け止めることを決意したアラン。母親を信頼し、尊敬し、愛するからこその決断でした。決して口数が多い彼ではなかったけれど、ところどころで見せる彼の表情にそんな決意が表れていて、老いゆく親との付き合い方や、親の考えを尊重することについて、考えずにはいられませんでした。また、親子の形はさまざまですが、どんな関係でも愛という根本的な部分はそこにある、ということを知らされました。

そんな気づきを与えてくれる本作品、2013年11月30日(土)に公開です。年が暮れゆくこの時期に、親子関係や家族愛について考えながら見てみませんか?


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