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五感豊かに「今ここ」を感じる”マインドフルネス”

五感豊かに「今ここ」を感じる”マインドフルネス”

2014年9月29日 • Health, Mind & Heart

物質的に豊かな日本で暮らす私たち。1960年代の高度経済成長以降、物質的・経済的豊かさを追求してきたせいか、大量生産・大量消費・大量廃棄型のライフスタイルに慣れ、何でも手に入るのが当たり前で、豊かになればなるほどその恵まれた環境に感謝する気持ちが薄れてしまったように思います。

では世界を見てみるとどうでしょうか。世界銀行の「世界の貧困に関するデータ」によると、世界全体の貧困者数は1990年は43.1%だったものの2010年は20.6%となり、貧困率は改善したようですが、それでもまだ12億人の人が貧困生活を強いられているのだとか。そんな貧しさで苦しんでいる人達がいることは頭の片隅では理解しながらも、「あれも欲しいこれも欲しい」と思っている状態では、世界の現実に向き合うどころか、物欲に駆られて必要ないものまで買っている自分に気づいたり、不自由しない生活に感謝することさえできません。

それでも環境問題やエコが叫ばれるようになってから、私たちの意識も大分変わってきたようです。平成24年度の内閣府の「国民生活に関する世論調査」によると、「物質的にある程度豊かになったので、心の豊かさやゆとりのある生活に重きを置きたい」とする人の割合が64.0%と過去最高となり、「まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きを置きたい」とする人の割合(30.1%)を大きく上回る結果に。さらに、「これまでの大量生産・大量消費型の経済に対する意識」の調査では、「変えていく必要がある」「どちらかと言えば変えていく必要がある」と回答した人の割合が、約80%という高い値となりました。 1

このように意識が高まるにつれ、よく耳にするようになった言葉に「マインドフルネス」(Mindfulness)があります。英語の響きに心を豊かにするイメージを持つけれどはっきりとした意味が分からない、また、瞑想と同じじゃないの? と思う方もいるかもしれません。

「心のヨガ」とも呼ばれる瞑想は、 目を閉じて、意識を呼吸に向けながら雑念を受け流し、ありのままを受け入れるというもの。宗教やヨガの教えなどとも深いつながりがあり、その実践方法も様々。瞑想は電車の中や信号待ちの時でもできますが、目を閉じたり、呼吸に意識を集中したり、最低でも数分間の時間をかけることなどが必要とされます。

マインドフルネスはというと、ポジティブ心理学の第一人者であるタル・ベン・シャハー博士の著書「ハーバードの人生を変える授業」には、「自分がしていることを十分に理解し、判断や評価なしにいまの瞬間をできるかぎり受け入れるようにすることです。『いま、ここ』に焦点をあて、やっていることを体感し、好き嫌いにかかわらず湧きあがる感情を味わっていることがマインドフルな状態です」とあります。

有名なマインドフルネス・トレーニングに「レーズン・エクササイズ」があります。これは、レーズンを一粒手のひらに乗せて、初めて見る食べ物だと仮定してレーズンを扱うというもの。レーズンの色味や表面のシワ、ほのかな甘い香りや口に入れた時の甘酸っぱさと柔らかい食感など、五感がフル回転して、今までになかった気づきや感動を得られるはず。たったそれだけのことですが、この状態を一度経験すると、私たちが普段いかに意識を集中せずに食事をしているかに気づくはず。忙しさのあまり外食やコンビニ弁当など、手軽に済ませられるものに偏りがちの方も多いかもしれませんが、一度マインドフルネス・トレーニングを行い、じっくり五感を使って味わってみてはいかがでしょう? その油の多さや塩分の高さに気づき、結果食生活の改善へとつながるかもしれません。

仏教の瞑想法がマインドフルネスの原点とも言われていますが、医者や心理学者などの研究でもその効果が科学的に実証されているため、企業や教育、医療現場などで広く応用されはじめています。瞑想と違うのは、目を閉じたり、呼吸に意識を集中したり、時間をかけることなくできるという部分かもしれません。何故ならマインドフルネスはひたすら「今この瞬間を生きる」ということに焦点を当てることだから。一見シンプルに見えながらも、実は五感をフル稼働してその一瞬に全力を傾けることは、結構エネルギーを必要とします。だからこそトレーニングを重ねることが大事だそう。

マインドフルネスからは、

・免疫力とストレス耐性が高まる
・人間関係の改善につながる
・ストレスや気分の落ち込みを感じにくくなる
・幸福感が増幅する
・何事にも挑戦する心や、集中力が高まる
・自分を卑下することがなくなる

などの効果も期待できるようです。 2 3 4

マインドフルネスや瞑想などの心のエクササイズは、体のエクササイズと同じで人によって合う・合わないもあるので、色々試しながら自分に合ったものを見つけてみてはいかがでしょうか。何事もそうかもしれませんが、大切なのは自分にあったものを長く続けること! ですよね。

脚注:

  1. 環境省 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書 平成25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況 第1部 第2章 真に豊かな社会の実現に向けて
  2. ANNIE DALY、”What’s Actually the Difference Between Mindfulness and Meditation?“、2014年9月12日
  3. Mindfulness or Meditation?“、Perth Meditation Center
  4. Doing and Being: Mindfulness, Health, and Quiet Ego Characteristics among Buddhist Practitioners“、Journal of Happiness Studies (12(4): 575-589)

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