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幸感力インタビューvol14

「幸感力」インタビューVol.14『「Make a wish・願い事をする」ことは幸せをみつける一つの方法』公益財団法人メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン事務局長 鈴木朋子さん

2017年11月21日 • 「幸感力」インタビュー

今回のインタビューは、難病を抱えている子どもたちの願いを叶えるサポートをする団体メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン事務局長の鈴木朋子さん。メイク・ア・ウィッシュの活動や願う気持ちの素晴らしさ、「幸感力」についてお聞きしました。

プロフィール
鈴木朋子(すずきともこ)
公益財団法人メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン事務局長

東京生まれ。
2001年より、メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン東京本部事務局スタッフとして勤務。
Wish Managerとして国内・海外のウィッシュチャイルドのコーディネーターを務める。また広報も兼任し、メディア対応のほか、メイク・ア・ウィッシュの活動を広めるための講演活動等も精力的に行う。
2016年3月より、事務局長に就任。
Make-A-Wish Japan HP http://www.mawj.org
Make-A-Wish Japan Facebook https://www.facebook.com/MAWJapan/

“願い事から生まれる次に向かう気持ち”

–  メイク・ア・ウィッシュの活動について教えてください。 

鈴木朋子さん(以下 鈴木 敬称略):私たちメイク・ア・ウィッシュは、難病を抱える子どもたちの願い事を叶えるお手伝いをしているボランティア団体です。1980年にアメリカで発足し、日本では1992年から活動が開始されました。今年で25周年を迎えます。

病気になると、何かしたいことがあっても「良くなったら、治ったら」と先延ばしにされてしまう場合が多いのですが、病気でもできることがあります。それは「Make a wish・願い事をする」こと。「Wish・願う」気持ちを病気のお子さんに持っていただいて、その「Wish・願い」を叶えることで、さらに病気に向かっていく力や家族の絆をお届けしたいと私たちは活動しています。

–  子どもたちが夢や目標を叶えられるように、どのようなサポートを行っているのですか?

鈴木:願いを叶えるとは、ただそこに行けばいいだけではありません。マンパワーや手配、費用を含め様々な準備が必要で、そのお子さんの願いを叶えるため、私たちは全てのサポートをします。

始めに「どんな願いごとがあるの?なにをしたいかな?」と聞くことからスタートし、私たちがサポートする「Wish」を一つ決めていただきます。そして、外出用の車椅子や交通手段、宿泊先の手配はもちろん、行った先で困らないように色々なところへもサポートのお願いにあがります。一つ一つ心配ごとをなくして、何があっても大丈夫なように万全の準備をします。

はじめの一歩、病院やご自宅を出発するところから戻るまで、そして願いが叶った後もその時の写真をアルバムにしてお届けするところまでフルサポートします。

重い病気のお子さんの夢や願いを叶えるというと、思い出作りとか最後の願いとか、そんなふうに捉えられがちですが、私たちはそこが始まりとなるようなお手伝いをさせていただいています。確かに大変なご病気の方がサポートの対象ではありますが、決して良い思い出づくりではなく、むしろそこからスタートしていただきたいのです。だから、お腹いっぱいのwishにはしないように心がけているんです。

お子さんのしたいことを聞くと、大人って知恵がどんどんでてくるんです。もちろん、そのアイディアでより素敵なwishになることも多くあります。でも、大人の知恵を入れ過ぎてしまうと、どこか焦点がぼやけてしまったり、あるいはお子さんやご家族がもうお腹いっぱいってなってしまったり……。そうすると次に繋がらないんですね。だから、私たちがあれもこれもしたいと思ってもあえてせず、そのお子さんの年齢にあわせて、今後どのように歩んでいくのかを考え、あえて腹八分で留めるように心がけています。お子さんが自ら次を考え、「次はね!」という気持ちを持っていただきたいのです。私たちはお子さんが望んでいることをただ叶えるのではなく、叶える「お手伝い」をします。

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“家族への想いを託してくれる子どもたち”

–  サポートによって実現した子どもたちのwishを教えてください。

鈴木:日本だけでも、今日までにこの25年間で2,946人の子どもたちの願いを叶えるお手伝いをしてきました。昨年だけでも187人いて、今年はおそらく220人ぐらいになるのではないかと思います。2日に1人位の割合ですね。

子どもたちの願いの中でも、ディズニーリゾートに行きたいというwishはすごく多くて、全体の5割ほど。「どこかにお出かけしたい」というかけがえのない思いなんですよね。でも、ディズニーリゾートに行きたいという願いの中で誰一人として全く同じwishはなくて、例えば家族で行きたい子もいれば、特定のアトラクションに乗りたい子、キャラクターに会いたい子、ポップコーンが食べたいとか買い物したいとか様々なんです。

ディズニーに行きたいお子さんたちは、お兄ちゃんも我慢しているとか、お父さんとお母さんもずっと自分のために頑張ってくれていると知っています。だから、ご家族を素敵なホテルに泊まらせてあげたいなという想いがあるんです。自分の願いなんだけれど同時にご家族を想っている、それをすごく感じます。

池田悠さん(名古屋支部)クリスマス 1Haruka Ikeda®

その中でも忘れられないのが、ある17歳の女の子の「笑顔の家族写真を撮ってください」というwishです。ご病状がかなり悪くて、病室から一歩も出ることができない状態でした。その女の子が「もし私がいなくなったあとに、お父さんとお母さんとお兄ちゃんの心の中に残っている私が辛い顔だったら嫌だな。笑顔の私を覚えていてほしい。だから笑顔の家族写真を撮ってください」っておっしゃったんです。その言葉を聞いただけで胸がいっぱいになってしまいました。

記念の写真を撮るときには、手先が器用なボランティアさんがドレスを作ってプレゼントさせていただくこともよくあるんですね。でもその時は女の子の主治医から、「できれば今日中がいい」とお聞きしました。

ドレスを作る時間はありませんでした。その足ですぐにデパートに行って、その女の子に似合いそうな真っ白なドレスを買ってきました。病室もできるだけ素敵な空間にしたいと思い、ボランティアさんたちとレースやリボン、紙で作ったお花だったり色々な綺麗なもので、ありとあらゆる病室の無機質なものを覆って、ホテルの部屋のような一室を作り上げました。

その女の子はベットから起き上がることができない状態でした。でも、ドレスもただ上からかけるだけではなく、本当に着ているようにしてあげたいと思ったので、ドレスにハサミを入れました。プロカメラマンのボランティアさんに連絡をしたら「今日オフだからすぐに行くよ!」といってくださって、その日のうちに全てが整いました。

お父さんがお仕事から帰っていらっしゃって、お母さんがいらして、お兄さんも学校から帰っていらっしゃって、その女の子を囲んでとても素敵な家族写真を撮ることができました。そしてすぐに現像にいって、その日のうちにお写真をお届けしました。そのとき、お父様もお母様もお兄ちゃんも本当に嬉しそうで、何よりもその女の子が本当に幸せそうでした。

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女の子は間違いなく、これからのご家族の未来を見ていたんです。ご家族のこの先をしっかりと考えていた。ご家族に明るく笑顔で生きていってほしいという想いを託してくれたのです。

言葉にしてしまうと悲しいことかもしれない、でも私は、決して最後のお願いではなく、それこそ次に繋がるwishだったと思っています。笑顔や家族ってやっぱり素敵だなと思いましたし、メイク・ア・ウィッシュはこんな素敵なお手伝いができるんだ、と改めて感じました。

“願う気持ちはたくさんのプラスが働く”

–  鈴木さんがメイク・ア・ウィッシュに関わってきたことで、ご自身が感じたことや変化したことなどを教えてください。

鈴木:私自身、メイク・ア・ウィッシュから教えていただくことが本当に多いんです。メイク・ア・ウィッシュに関わり始めたときは、やっぱり夢を叶えるって素敵で最高の瞬間だし、そこにすごく惹かれました。そして関われば関わるほど、願い事をするということの素晴らしさから色々なことに気づかされました。勇気や希望、頑張ろうという思いも願う気持ちから生まれます。あるいは感謝であったりとか、誰かのことをすごく愛おしく思ったり、自分自身も愛おしく思えたり、願う気持ちにはネガティブを打ち消す力があるんです。

私はプラスを数えるように心がけています。プロジェクトを進めている間でも、断られたり出来なかったりすることがあります。でも、あれもこれもできない、断られちゃったとマイナスに考えるのではなくて「こんな風に言ってくれた人がいた」「こんなお手伝いをしていただけた」「こんなこともできたよね」と、自分の中でそういうプラスを、むしろマイナスがあったらそれ以上のプラスを、どんな小さなことでも探すよう常に心がけています。

それは願う気持ちから生まれた考え方で、自分の中でも大切にしています。願う気持ちからプラスを重ねていくと色々な「できた!」がたくさん詰まった素敵なwishになるし、たくさんの「できた」が詰まった素敵なお子さんにもなるし、「できた」が多いってそれだけでも素敵な思い出になるんです。だから、願う気持ちからプラスを重ねることを私たちメイク・ア・ウィッシュは伝えなくてはいけない、そしてお伝えすることでご家族もお子さんも胸を張って生きていける、そんなふうに思っています。

–  今後、夢や目標を持ちたいと思っている子どもたちへのアドバイスをお聞かせください。

鈴木:夢や希望、目標を聞くと「そんなのないよ、見つからない」という子もいます。でも「wish、願い事をしてみようよ」とアプローチすると、お子さんが嬉しいことを想像し色々なものに繋がっていくんですね。いま私何がしたいのかなと考えるだけでも、色々なものが見つかると思います。「病気を治したいと改めて思った」と言われたこともありました。夢や目標を見つけるのも、全ては願う気持ちから繋がっていると思うんです。どんな小さなことでも「願い」というシンプルなところからスタートすると、そこに向かっていく自分がまず想像できたり思考がクリアになったり、たくさんのプラスが働いてくると思います。

池田悠さん(名古屋支部)クリスマス 2
Haruka Ikeda®

–  鈴木さんが思う「幸感力」とは?

鈴木:「願い事をしよう。Make a wish!」というシンプルなことが、自分自身の幸せを見つける一つの方法なのかもしれません。願う気持ちがあれば幸せを感じることができるし、道は必ず開かれると信じています。病気でも頑張っている子どもたちもご家族も、そして世界中の人々が願う気持ちを持っていれば、色々なものに続いていきます。それは私たちメイク・ア・ウィッシュの願いでもあります。

もしメイク・ア・ウィッシュの子どもたちの応援したいな、自分も何か願う気持ちを一緒に持って頑張りたいなと思ってくださったら、全国に8支部ありますので、まずはお問い合わせください。

ボランティアは大変だと思っていらっしゃる方も多いと思いますが、メイク・ア・ウィッシュのボランティアさんには、できる時にできることをできる範囲で関わっていただければと思っています。2年ぶりにサポートのお手伝いをした、なんて方もいらっしゃいます。メイク・ア・ウィッシュの活動って素敵だなと思ってくださったら、周りの方々に広めていただくだけでも嬉しいです。

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(届いた古切手を整理するポランティアさんの写真です)

それと、ささやかなことですが、古切手や書損じハガキ、ディズニーリゾートラインの使用済みフリーきっぷ等も集めています。今は郵便物も少なくなり切手が貼られている封筒やハガキが少なくなっていますが、ご自宅あるいは会社で使用済み切手を切り取って集めて私たちに送っていただければ、それもメイク・ア・ウィッシュの子どもたちのサポートになります。

また、講演会やプレゼンテーションもさせていただいています。企業や学校、お母様方の集まりなど規模は問いません。色々な切り口でメイク・ア・ウィッシュのお話はさせていただくことができるので、そういったご依頼をいただくこともとても有り難いです。

取材・文・撮影/成松 阿留奈


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