MENU
自分の波を楽しむ

自分の波を楽しむ

2015年5月27日 • Mind & Heart

誰でも最高の思い出、苦い思い出……様々な思いを持ちながら、今を生きています。何か一つの経験だけはなく、色んな経験を通して今のあなた、新しいあなたが作られていったのではないでしょうか。

イギリスの文学者ジョン・バニヤンの「天路歴程」 1からの一節です。

「道は良いこともあり、悪いこともあり、上りも下りもあります。安らかなことはめったにありません。風はいつも後ろから吹くわけじゃないし、道で会うのがすべて友人であるわけでもない。今までにも名だたる難儀に出会ったし、今後どんな目にあうか分かったものじゃない。けれど要するに、全人は悩まねばならぬと昔から言われていることは、本当だとさとりましたわい。」

日野原重明先生は著書 2の中で、

「悟るということは、知識ではなく体験の中から生じる思想であり、迷うことのポジティブな成果として勝ち取られるもの。“迷わぬ者に悟りなし”ということです。迷いなくして悟りなし」

と言っています。

“悟り”とは“気づき”です。どれだけ“気づける”か、が私たちの人生を豊かにします。

これまでにあなただけが体験したこと、あなたに沸き起こった感情はすべてあなたが磨かれるために与えられたものなのです。

毎日色んな体験、色んな感情がある中で、あなたのココロに残っているものはあなたの感情が大きく動いた出来事のはず。これまで積み重ねたあなたそのもの、その全てをまずは大切に抱きしめてあげよう。他の誰ではなく、あなたが心地良く感じるもの、ワクワクするもの、恐怖と感じるもの、苦痛な要素、そのすべてを受け入れて、否定も肯定もすることなくそのまま認めてあげませんか。

そう、“知る”だけです。自分の中に存在する陰陽を優しく誇りに思ってあげませんか。陰を受容した陽の輝きは、見える景色や関わる人たちがきらめき始めます。光も影も受け入れてあなた自身を楽しみ生かしていくことは、自分自身を生きることに変わります。

あなたが得たすべての経験、体験、感情が、本からでは学べない何よりの知的財産となります。表情に深みが出て、魂のこもった言葉は多くの人たちを照らすことが出来るかもしれません。自分が光となって周囲の視界を広げることが出来たり、自分が影となって相手の光を引き出すことが出来ます。自分のすべてを受け入れるということは、自分を自由に使いこなせるようになります。迷ったっていいし、泣いたり怒ったりしてもいい。起こった素直な感情を笑顔で受け入れよう。人間だもの。

そこから得るもの、絆、感謝に気づけたものがあなたの人生を味わい深いものにしてくれます。自然と同じように、その時々の自分の感情の波にのまれることもあるでしょうし、浸ることもぷかぷか浮かぶことも、勢いに乗ることもあります。

ヨガでは思考を波として例えます。呼吸が乱れていると思考の波が強く、その水面に映る自分の本当の姿は見えない。何かを比べたりする相対的な幻想の世界でしか生きられず、苦しみからは抜け出せないのです。呼吸が静寂で思考の波が無のとき、水面には本質である自分を見ることが出来て、無上の喜びを得られます。

それを理解したうえで、私たちは自然の一部ですから生きていれば、いろんな波があるものです。毎日いろんな自分と出会い、いろんな自分を楽しみ、相手や環境ではなくて自分自身が作りだす固定観念や条件付けを超えていくことが、何にもとらわれず自由な心で感謝と喜びにつながる生き方になるのではないでしょうか。

ヨガの練習では、自分が抱えている痛みや硬さと向き合い、それと闘うのではなく(現在や過去の自分を否定するのではなく)、呼吸を通して受け入れて認めて許してあげることで(それも大切な自分の一部なのだとつながることで)、頑なになっていた部分がほどけて浄化されエネルギーが通るようになり、力が抜けて中心を感じて、しっかりと大地にグラウディングしながら気持ち良く空に伸びていく自己解放をしていきます。そんな純粋な自分自身は様々な環境や感情に対しても気づきを伴い、感謝を持って自分の使命に真摯に向き合うことが出来ます。

迷っても乱れても転んでも良いのです。それも愛おしいあなたですから。あなたがますます魅力ある人になるためのギフトです。

あなたの人生がより実り多いものになりますように。

脚注:

  1. 池谷敏雄訳「天路歴程」(新教出版社)
  2. 日野原重明著「いのちの使いかた」(小学館)

« »