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ヨガの効果~少欲知足~

ヨガの効果~少欲知足~

2015年5月7日 • Health, Mind & Heart

ヨガをしている人たちとの会話で“欲がなくなった”という変化を感じることがあります。物欲、所有欲、出世欲……世の中にさまざまな“欲”がありますが、大切なのは今あるものに満たされること。今の自分の役割は与えられた使命として純粋に行うこと。そうすることで、目標や希望は持ちつつも、不足感からの欲求はなくなっていきます。結果、何かを手に入れることはありますが。

なぜヨガをすると欲がなくなるのでしょうか。そのヒントは、“呼吸”にあります。ヨガでは呼吸を最も大切にします。生まれてからずっとしてきた呼吸。しないと死んでしまうのに、勝手にしているので、今まで意識することすらなかったでしょう。当たり前すぎて、自分の一部であることも忘れるくらいです。ヨガでは、その自分の命である“呼吸”に集中します。

ヨガを始めたばかりの方からよく「呼吸の仕方が分からない」と聞きます。でも、ほら、今もしていますよ。もうすでにあなたの中にあるモノを膨らませるだけ。足りないからと取りに行くとストレスになります。生まれてからずっと、あなたは大切なものを持っていたのです。それに気づくだけです。広げてあげるだけです。

深くゆったりした呼吸を味わえるようになると、なんとも言えない至福感。自分に還っていく。自分に満たされて、癒されて、そうするともう充分。それだけで、幸せ。なんで、あんなに欲しかったのだろう?というくらい、手放せるようになります。

周りから得た自分の価値ではなく、自分自身がどうありたいかという自分軸に呼吸は気づかせてくれるのです。

ヨガの教えでは「サント―シャ(知足)」と言います。今あるものに満たされると、必要以上のものは要らなくなります。そして、「アパリグラハ(貪欲に溺れない)」。本当に必要なもののみを受け入れる……シンプルに生きると、心身ともに軽やかでいられます。

生きるための欲や人生を楽しむための欲も必要です。しかし、必要以上の欲は、不必要な感情を生みだします。

人間の根本的な3つの煩悩は「欲・怒り・愚痴(愚かさ)」。ヨガの哲学においては、自分の本当の敵は6つ「カーマ(欲望)・クローダ(怒り)・ローバ(貪欲)・モーハ(迷妄)・マダ(高慢)・マスチャリア(嫉妬)」と言われています。欲望から始まった行動は次々と新たな敵を作りだします。

本当はすでに持っているあなた自身に気がつけずに、外へ外へ何かを欲して、手に入れたとしてもまだ満たされず、また何かを欲することの繰り返しは、次々と毒・敵を自分で作ってしまっているのです。いつまでたっても満たされないはずです。

毒素には様々な種類があります。

●精神的毒素……別の人間に対する葛藤の思考、あるいは理由は何であれ、他国との戦争に参加することを望む集合的葛藤など
●感情的毒素……不安、怒り、嫌悪、ねたみ、苦痛への傾倒など
●身体的毒素……排出されていない代謝老廃物
●環境的毒素……鉛、ニコチン、二酸化炭素、二酸化硫黄、麻薬など

これらの毒素は、関節や脂肪組織など酸素があまりなく、体の中でも「新鮮でなく」「活気のない」部分にたまりやすいとされています。これらの毒素が蓄積すれば、活気という点では死んだ状態になり、やがては慢性疾患が生じる可能性も。深く呼吸をして蓄積された毒素を吐き出し酸素を吸い込むことで、体を元の健康な状態へと戻す第一歩が踏み出されると言われます。 1

呼吸とは、そんな大切な“自分自身”なのです。あなたの内側をあなたが浄化して、あなたが満たしてあげることが出来るのです。すべては呼吸から始まり、心と身体をクリアに、エネルギーを上昇させて自分を覚醒していきます。

“幸せは外側ではなく、自分の内側にある”と気づかせてくれるヨガをしていると、いつでもどこでも、幸せを感じることができて、渇望感で起こる欲はなくなります。そして、あなた自身を信じてあげることが出来て、自分自身と最高のパートナーになり、あなた自身を生きることが出来ます。

そのままのあなたで、すでにもう充分。あなたは、あなたでいてください。あなたが、あなたで本当に良かった。あなたの笑顔も涙も一生懸命さもすべてあなたの魅力であり、すべてが愛すべき要素です。さぁ、いっぱい気持ちの良い呼吸をしましょう。

脚注:

  1. 『アシュタンガ・ヨーガ 実践と探究』グレゴール・メーレ著(ガイアブックス)

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