MENU
備瀬のフクギ並木~光と影が織りなす沖縄の原風景~

備瀬のフクギ並木~光と影が織りなす沖縄の原風景~

2017年3月31日 • Travel

沖縄本島、本部半島の西側に位置する「備瀬のフクギ並木」を訪ねたことはありますか? 美ら海水族館がある海洋博公園の一番北側、エメラルドビーチの先からうっそうと続くフクギ並木が備瀬の集落です。

フクギの木はまっすぐに伸び葉が密に付くという特徴があり、風害や塩害に強いため、昔から沖縄では落の道の両側に植えられ屋敷林として用いられてきました。日差しの強い沖縄で自然の日よけとして有効な役割を果たしてくれるのはもちろん、台風の強い雨風から家屋を守るという目的もあるものです。

ためしに夏に備瀬の集落を訪ねてみてください。集落に一歩入ると、それまでの暑さが嘘のようにあたりがすっと涼やかな空気に包まれているのがわかります。道を細くし、両側にフクギの木を植えることで、フクギの葉を天然の屋根とすることは先人たちの知恵。ちょっとした雨くらい余裕でしのげて、実に快適なのです。

この自然のアーケードは見た目にも美しく、右にも左にも、どこまでもフクギの木が続く様子はちょっと迷路のようでもあり、一種独特の雰囲気が漂います。サンゴの砂がしきつめられた小径の白さが集落の静寂によく似合い、木々の間からは赤瓦の屋根とそれぞれに異なる表情で飄々と空を見つめるシーサーの姿。そんな備瀬の集落の風景は、ひと昔前の沖縄ではどこにでもあった、今では“古き良き時代の沖縄”と呼ばれる風景なのです。

備瀬のフクギ並木~光と影が織りなす沖縄の原風景~

圧倒的な光と静寂が似合うフクギの集落

なぜだかわかりませんが、このフクギの木々が作る日陰の中から眺める風景の方が、太陽の下で原色に輝く風景よりも沖縄的だと、ふと思うのです。

真夏だというのに薄暗い集落の小径と、その対極を成すようなフクギ並木の先に広がる光の風景。日陰から眺めると色彩の陰影が強調され、眩しさで思わず目をつむってしまうのですが、圧倒的な光に満ち溢れた世界の存在と地に足の付いた自分の居場所が繋がっていることに安堵を覚えます。

備瀬のフクギ並木~光と影が織りなす沖縄の原風景~

エメラルドグリーンの海や、吸い込まれるような青空に光を放つ南国の花々がプリズムの世界を映し出し、そんな光の風景を日陰になったサンゴの砂の上からそっと眺めるのです。

備瀬を訪れる観光客の多くは、レンタサイクルで集落の中を一周し集落を後にしてしまいますが、それではちょっと残念。ここではできるだけゆっくりと、のんびりと。目の前に広がる伊江島のタッチューと、刻々と色を変えるサンゴの海と、肌に直接湿度が伝わる海風の心地よさを楽しんでみてください。

あんまり先を急ぎすぎると、古き良き時代の沖縄時間が交差する光と影の集落の風景に出会いそこねますよ。

Photo:Mayu Kobayashi

  • 沖縄県・備瀬の位置


« »